例えば私ともう一人(…ちょっと前に出て頂けますか)が、約1メートルぐらい離れましてね、こういうふうに立っているとします。このとき私も彼女も、ちょうどプラスとマイナスの電荷が完全に50%・50%になっています。もしですね、私の電荷と彼女の電荷が、1%ね、どちらかが例えばプラスが勝っているとすると、どうなると思われますでしょうか。

もう少し具体的にわかりやすく言いましょう、私の方が、マイナスが49.5%、プラスが50.5%、そして彼女も同じだとします。そうしますとね、プラスとプラスが強いわけですから、反発し合うわけです。

そしてその本には、どのぐらいの力で反発し合うだろうかということが書いてあったんです。1メートルの近さで、両方若干プラスが強いとすると、お互いに排斥し合う、反発しあうわけですけれども、どのぐらいの強さで反発するのでしょうか。「例えばそれは、エンパイアステートビルを動かすぐらいだろうか、とんでもない。じゃあエベレストを動かすぐらいだろうか、とんでもない。それは地球を簡単に動かすぐらいの力なのだ」って書いてあったんです。

まあ今、いきなりそんな話をしてね、皆さんポカンとされるかもしれませんけども、わずか1%プラスが多いだけで…実は1%多かったら、生命として生きてはいられませんけれども…でも、もしね、そういうふうに電荷がお互いに、プラスの方が強かったら。そのときは地球が簡単に動くぐらいの、とんでもない猛烈な力で反発し合うんだということがお伝えしたかったわけです。それくらい、電気の力っていうのは極めて大きいんです。非常に強い力です。

それに反してね、重力の力っていうものは、極めて微細な力です。例えば今、実際には皆さん全員、お互いに何らか引き合っているんですけど…万有引力の法則がありますからね…、でも、誰かの近くに寄ったら何かこう引かれていく感じっていうのは、されますでしょうか。もちろんとても魅力的な異性の近くに行ったらそう感じがするかもしれませんけれども、まあ普段はね、そんなふうに全然思いませんよね。

このように、重力というのは極めて極めて微細な力なんですが、じゃあ宇宙を動かしている力ってどんな力なのかって考えてみましょう。この宇宙、例えば太陽系の運動ですとかね、銀河系の運動、こういった宇宙の運動をどのような力が動かしているのかと申しますと、強いはずの電気力では全然ないんです。これはもう完全に、この微細なはずの万有引力が動かしているんですね。ですから、例えば宇宙船を飛ばしたりする時も、電気の力なんてもう全然計算しません。万有引力、つまり重力しか計算する必要はないんです。

これはなぜなのかっていうことなんですけれども、電気のように極めて強い、そういうふうな力っていうものは、すぐに勝負が決まってしまって、すぐにいろんなことが起こってしまうので、長期的には何の影響もないわけなんです。それと反対に、重力なる極めて微細な力というものは、ほとんど目に見えないし、感じられもしない。以前お話しましたように、重力っていうものは、その重力の原因となる力ってものは、未だ何なのか全くもって分かっていないわけですね。重力の原因、なぜ重力があるのかということについて、万有引力の元になるものって一体何なのかということについては、全くゼロなわけです。まあそのぐらいに、極めて微細な、何もわかっていない世界なんですが、実はね、この極めて微細なはずのこの力、ほとんど無限と言っていいぐらい無限に小さい力が、この無限に大きい宇宙というものの根源的な力になっている。宇宙を動かしている力そのものになっているということなんですね。

 

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