説明
ジュリアン・カーライオン著、諫早道子訳 永松昌泰監訳/A5版/294ページ/春秋社/2008年3月
ハーネマンに始まり、数々のホメオパスたちが覗き込んできた、人間存在の真理。その深淵なる哲学の全容を、元英国ホメオパシー協会理事カーライオン氏が、わかりやすく、しかもコンパクトにまとめた。ホメオパスを志す人には必携の書。一粒のレメディーを選び出す世界観が、ここにある。
マヤズムという遺産(本文より)
私たちは、上から、下から、そして両わきから、誕生と生活と死に取り囲まれて生きている。たえず、自分自身の誕生と生活と死のドラマをまっとうしようとしている。わたしたちはまた、先祖から伝わる誕生と愛と死の記憶を担っている。無視され、否認され、台無しにされ、尊重されなかったような、数々の誕生と欲求と死の記憶だ。これがマヤズムという遺産である。
私たちは、誕生と確立と死のドラマを、成長の段階ごとにやり直さなくてはならない。人生という循環を何度も歩きめぐり、やっと思い出すのだ。生まれることも死ぬこともない自分の本質を知りながら、人生という循環を愛するためにここにいるということを。
密かな「謎解きの喜び」(監訳者あとがきより)
本書は、一人の誠実で、磨きぬかれた上質な知性の持ち主が、ホメオパシーという途方もなく巨大で深遠な世界と対峙した末に辿り着いた、30年間の総決算である。(中略)
それゆえ、本書はホメオパシーを真剣に志す人の必読書である。本書を一瞥するだけで、その行間から立ち上がってくる、ただならぬ気配に思わず震撼するであろう。(中略)現在のホメオパシーが辿り着いた最新、最深の姿がある。ホメオパシーのあらゆる構成物が、一つひとつ丁寧に意味を問い直され、再定義され、再構築される。
しかし、著者の想定している読者はホメオパシーの世界に留まらない。むしろ、人間学・宇宙学として読んでもらいたいというのが、著者の密かな願いである。ホメオパシーを通じて人間・宇宙のリアリティーがありのままの姿を次第に開示されてゆく、密かな「謎解きの喜び」が静かに通奏低音を成しているからである。——永松昌泰
著者プロフィール
- ジュリアン・カーライオン
- 元英国ホメオパシー協会理事。ジョン・デイモントに師事、英国でホメオパシーが復活した70年代からホメオパシーを実践、近年はミッシャ・ノーランド、ラジャン・サンカランとともに学ぶ。ハーネマンから近代までのホメオパシーの歩みと共に、古代からの伝統やトランスパーソナル心理学を包含した現代における新しいホメオパシー像を提唱。
目次
- 1. 症状に耳を澄ます
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- ホールネスという視点
- ホロンとしての人間
- 症状のとらえ方
- 痛みという表現
- モダリティー−世界とのかかわり方
- 2. 2つの鍵 〜<周期性>と<両極性>〜
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- 太陽のような自己
- 「自然」、分別、リアリティ
- 意識の進化
- 治癒を示す結合のシンボル
- 3. 自己と影 〜忘れえぬもの〜
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- 意識発達の7つの段階
- 含みながら超えること
- 7歳前後まで
- 影−否定されたエネルギー
- 7歳以降
- 意識発達のさまざまなモデル
- 4. やわらかな照応Ⅰ 〜元素と意識〜
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- 元素シリーズのテーマI
- 発達過程の葛藤
- 自己は不都合なものを隠す
- 周期律のフェーズ
- 5. やわらかな照応Ⅱ 〜意識の周期律的ダイナミクス〜
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- 元素シリーズのテーマII
- 意識世界の拡大と自由
- 周期律に見る大宇宙と小宇宙
- 6. 症状はどのように形成されるか
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- 主観的症状と客観的症状
- 無意識への通路−イメージ、感情、感覚
- 照応する心と体
- 投影−世界を映す鏡
- 両極のバランスと補償作用
- 7. マヤズムとは何か
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- マヤズム理論
- 3つの基本的マヤズム
- マヤズムの連続性−始まり、中間、終わり
- マヤズム・発達段階・周期律の問題
- マヤズムという遺産
- 8. 人間をどう観るかⅠ 〜存在の3つのレベル〜
- 9. 人間をどう観るかⅡ 〜存在の4つのエレメント〜
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- 基本となる4つの状態
- マッパ・ムンディ—四大エレメントの世界図
- マッパ・ムンディで症状像のパターンをとらえる
- 10. 類似性とは何か
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- パターンの類似が呼び覚ますもの
- 全体と部分
- 病気、忘れること、思い出すこと
- 類似性と感受性−似ているから影響される
- 内のものと外のもの
- 治癒のあるところに感受性がある
- 11. プルービングとは何か 〜より正確なレメディー像を求めて〜
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- プルービングで体験されること
- プルービングは人為的病
- ホメオパシーにおいて「知る」とは何か
- 潜在力の感応が意味するもの
- 12. 治癒へ至る旅
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- 治癒の法則
- 病気、治癒、意識
- 13. 実践への覚書 〜ケース・テーキングにあたって〜
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- 症状のもつ物語
- 症状の根本にある知覚を探す
- 症状選択に役立つ3つの質問
- ケース・テーキング
- 指針となる症状へのマップ
- 患者と旅