世界中で騒動となった新型豚インフルエンザ。
日本ではメディアが連日取り上げたこともあり、マスクが店頭から姿を消したり
修学旅行を取りやめたりと大騒ぎになりました。
そんな豚インフルエンザとホメオパシーについてのトピックを、ハーネマンアカデミー大阪校4期生の皆様が、
授業でのディスカッションを受けて協力して作成してくださいました。
新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)
一時ほどではなくなりましたが、依然として新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)の話題は毎日マスコミを賑わしています。少し前に流行した強毒性の「鳥インフルエンザ」の名称を想起させることもあり、非常にインパクトが強いようです。
動物から種を超えて感染することで強毒化するおそれがあると言われていること 、鳥インフルエンザのときは重症化したケースが多かったこと、そして研究者や医療者などの専門家が、以前より新型インフルエンザ(豚や鳥だけでなく)の大流行によるワクチンをはじめとする薬剤が大幅に不足するだろうと悲観的な予測をしていることなど、危機感は大きくあおられています。このような危機感は、パンデミックといわれる世界的大流行をテーマとした映画などが作られるほどです。
現在テレビでみる大阪や神戸はどうでしょうか? まさに広範囲にわたる感染地域のように報道されています。しかし、感染人数はどんどん増えるという報道ばかりが目立ち、普通のインフルエンザと同様に、実際に治癒していることは、ほとんど伝えられていません。
マスクが最大の予防であるかのように言われ、町行く人の多くはマスクをしています。多くの企業や学校でもマスクを着用するように指導されていますが、あちこちで入手困難になっています。以前から日本の風邪を引いている方がマスクをしている姿は、日本を訪れた外国人の間でも不可解な姿として有名ですマスクには一定の役割はあるが、感染予防力はない、ということが世界的定説です。
しかし、厚生省は2週間の備蓄食料について広報し、感染専門のマスク・防護服などがインターネットなどで販売され、マスコミにも紹介されています。そうやって市民の不安は過剰にかき立てられ、人々は物品の過剰な購入に走るという結果を招いています。
昔から、「備えあれば憂い無し」と言います。しかし、それが「本当の備え」になるのでしょうか? 本当に備えるとはどういうことか、私たちを恐怖に駆り立てているものはどこから来ているのかということを、もう一度自分自身に問いかける必要があります。
まず「本当の備え」の基本は、適度な休養、適切な栄養、清潔な環境にあることは、言うまでもありません。健全な生活習慣は、人が本来持っている生命力を高め、免疫力を上げることになります。つまり病気に対する感受性が低くなり、「病気との縁 」がなくなってくるのです。
ここでいう「感受性」とは、「同調のしやすさ」と言えます。例えば、同じ映画を観ても涙を流す人もいれば、つまらなさそうな人もいます。その映画を観て何か心が動かされるなら、その人の中にもストーリーと同調する何かがあり、その映画に対して感受性が高いと考えられます。病気もまた同じです。風邪を引いている人と毎日顔を合わせていてもまったく平気な人がいるよ うに、今回の豚インフルエンザにしても、通常のインフルエンザにしても、それに対する感受性が高いか低いかによって、罹る人もいれば罹らない人もいるのです。どのようなことも一方的に起こるわけではなく、「相互作用」によって起こるのです。ですから、病気と縁を持ちにくい心身を築き上げること、これが全ての基本です。
さて、ホメオパシーでは豚インフルエンザに対して、具体的にどのようなことができるのでしょうか。
ホメオパシーではいわゆる「病名」は関係ありません。また病気のメカニズムも関係ありません。なぜなら、目の前の「症状の全体」にその人の病がすべてあますところなく表現されているからです。そこには「新型」も「豚」も「H5N1 型」もありません。病気のメカニズムも関係ないため、メカニズムが未だ不明な時からすぐに対応できます。現在の症状に似た症状を引き起こせるレメディーを選択し、摂ることで、体の自然治癒力が発動し、治癒に向かうのです。
ですから、今回の豚インフルエンザも他のすべての病と同じように、必要に応じて実際に起こっている症状をもとに、その人に合ったレメディーを摂ればよいのです。適切なレメディーを選ぶことができれば、インフルエンザの身体的な症状はもちろん、恐怖や不安も同時に手放すことができます。
レメディーの原材料物質は、自然の動物・植物・鉱物などです。それらを、分子という概念すら超えるほどにまで希釈(薄める)・振盪(振る)することを繰り返します。この過程で、原材料物質の持つ潜在的なエネルギーが開放(解放)されていきます。ホメオパシーは、自然からのエネルギーをありがたく使わせていただくのです。そして、身体的な症状だけではなく、私たちが握り締めて手放すことが出来ない恐怖を手放す手助けもしてくれます。
例えばAconite(アコナイト )。このレメディーはあらゆる「突然」に対応します。症状
が突然起こった場合、発症した直後などに対して、オールマイティーなレメディーです。特に恐怖心が強ければ、さらにマッチします。ですから今回の新型インフルエンザには、正にぴったりです。ただ、一つ気をつけていただきたいことがあります。Aconiteの「直後」は、本当に直後です。何か変だな、と感じたらすぐにお摂りいただくことが必要です。その場合には、ほぼ百発百中でその異変は終わります。1日2日経ってしまった時でも、それなりに反応しえますが、確率は時間の経過と共にどんどん落ちてきます。
またGelsemium(ジェルセミウム)のように、全身の倦怠感を伴うインフルエンザ様症状
に 著効のあるレメディーもあります。このレメディーは、風邪やインフルエンザの本質と深く同調するレメディーです。現代医学では、風邪とインフルエンザとを峻別しますが、ホメオパシーではその必要はありません。風邪やインフルエンザの本質は、cleansing(クレンジング)、すなわち「浄化」、 すなわち「大掃除」です。一日の活動の中でのストレスや疲労は、睡眠や入浴、リラックスや趣味の活動、家族や恋人との語らいなどによって、ある程度ほぐれますが、日々できることには限界があります。
時々は思いっきりそのストレスを解放する必要があります。その時に起こるのが、風邪やインフルエンザで、身体が重く、思うように動けません。そして咳や鼻水などの浄化反応を起こします。ちょうど大掃除をする時と同じです。まず、日頃のあらゆる活動を止めて、チリやホコリを払い、ゴミを捨てなければなりません。浄化という大掃除の時も、活動ができないように身体を重くしたり思うように動けないようにしてくれているのです。
今回の豚インフルエンザの場合、症状そのものや治癒過程は、通常のインフルエンザとほとんど何も変わらない、と報告されています。遺伝子解析の結果、豚インフルエンザ と識別しているだけです。しかし、ホメオパシーでは、遺伝子解析の違いは、治療上何も意味しません。Gelsemiumは、豚インフルエンザに対しても、中心的レメディーであると考えられます。
他にもArsenicum( アルセニカム)、Bryonia(ブライオニア )、Belladonna(ベラドンナ ) など・・・個々の症状に応じてレメディーを選択すればよいのです。
個々の症状については、こちらをご参照下さい。
私たちは随分昔から目に見えるもの、聞こえるもの、いわゆる五感の感覚に一喜一憂してきました。歴史のなかでも未知の病気に、多くの人々が恐怖を煽られてきたことでしょう。そしてその間も時勢はずっと流れてきました。先人の残してくれた智慧を駆使しながら、いたずらに恐怖心をあおられることのないように、心身を育てていくことも本当の備えとな るかもしれません。
「常に偏見なき観察者でありなさい。」
ありのままに真実を見ようと努力することの大切さを、ハーネマンは説いています。
マスコミなどで煽られた見えない恐怖に立ちすくむのではなく、私たちの叡智を結集して、実際に何が起こっているのか今一度考え、道理に基づいて行動しようではありませんか!